学会概要
理事長あいさつ
この度、理事長を拝命しました藤田佐和と申します。歴代のすばらしい理事長が成し遂げられてこられた功績を引き継ぎ、日本がん看護学会のさらなる発展をめざして尽力してまいりたいと思います。
本学会は、1987年に設立され、「がん看護に関する研究、教育、実践の発展と向上に努め、もって人々の健康と福祉に貢献すること」という目的のもと活動してまいりました。そして、2013年に法人化され、看護実践を大切にするという伝統を礎に日本のがん看護を牽引する学術団体へと成長し、今年2025年に発足40周年を迎えます。第40回学術集会では40年の歴史を踏まえて、未来のがん看護を考える節目となる記念事業を企画し、未来のがん看護をデザインできればと考えております。
近年、がんの診断や治療技術の向上のスピードは目覚ましく、また、コロナ禍以降、医療の提供方法も変化がみられています。一方、がんサバイバーは長期生存が可能になりましたが、Extended & Permanent Stageにあるサバイバーは、治療による副作用や晩期障害などの身体的問題、再発・転移への恐れといった精神的問題、就労や人間関係などの社会的問題、高額な治療費に伴う経済的問題といったさまざまな問題に直面しています。そのため、本人やご家族が求めるニーズも増々多様化・複雑化し、アンメッドニーズへの対応も求められています。このような状況のなかで、本学会はがんサバイバーとそのご家族が住み慣れた地域で安心して、がんとともに自分らしく生活できるよう、患者本位の医療・看護を提供することをめざして、約5300人の会員の皆様がそれぞれの立場で活動をしております。
本学会の主な事業としましては、がん対策基本法に基づいたがん対策推進基本計画の分野別施策である「がんの予防」「がん医療の充実」「がんとの共生」をもとに、①学術集会の開催、②学会誌発行、③看護専門職の実践及び研究の質向上、④国内外の関連学術団体との連携、⑤国際交流活動、⑥人々の健康と福祉に貢献するための社会活動などを行っております。2023~2024年度は、がん看護に関わる高度実践看護師海外研修事業や看護師の継続教育事業の発展に取り組みました。また、日本臨床腫瘍学会と日本臨床腫瘍薬学会と共同して「がん薬物療法に伴う血管外漏出に関する合同ガイドライン2023年版 第3版」を刊行、既存のガイドライン改定の活動も開始しています。これからも関連学会との連携を密にしてがん医療にも広く貢献できるよう努力してまいります。学術集会では患者団体と協働して、患者・家族参画プログラムを企画・実施し、共に学び、がん看護・医療や患者家族の支援を充実させる活動をスタートさせました。今後もこれらの事業を発展させ、さらに2027年には、日本で国際がん看護学会(International Society of Nurses in Cancer : ISNCC)とアジアがん看護学会(Asian Oncology Nursing Society : AONS)を合同開催し、海外とのネットワークの強化を図るとともに日本のがん看護実践の向上などに貢献してまいりたいと思います。
2025~2026年理事会もさらに会員の皆様への有意義な還元ができるよう尽力してまいる所存です。理事・監事の方々と力を結集して学会運営を務めさせていただきますので、会員の皆様やがん医療・看護に携わっておられる皆様のご理解とご支援を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
2025年4月
一般社団法人日本がん看護学会
理事長 藤田 佐和